平成25年2月17日(日)に実施された第102回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第99回保健師国家試験、第96回助産師国家試験及び第102回看護師国家試験の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第102回の午後100~108
100)次の文を読み100~102の問いに答えよ。Aさん(55歳、女性)は、昨年10月に腹痛と腹部膨満のため受診し、膵癌、腹膜播種と診断された手術の適応はなく、化学療法を受けていた。今回、腹水貯留があり経口摂取量も減少したため入院した。排泄は自立しているが、臥床していることが多い。事務職員をしていたが、現在は休職中である。夫とは離婚し25歳の長女と2人で暮らしている。23歳の長男は結婚し、遠方で暮らしている。今回の入院時から積極的治療が困難であることは、Aさんと長女へ医師から説明され、Aさんは自宅での療養を希望している。長女は就労しているため、あまり来院していない。退院調整看護師から、訪問看護ステーションにAさんの情報提供と訪問看護の依頼が入った。訪問看護師は、在宅療養ができるかを確認するため来院した。訪問看護師が、Aさんと会う前に退院調整看護師に確認すべき情報で優先度が高いのはどれか
①自宅環境
②治療経過
③食事の摂取状況
④長女の在宅療養への意向
④
101)退院後、介護支援専門員、訪問看護師、在宅療養の主治医および訪問介護事業所管理者がAさんの自宅に集まり、Aさんと長女が同席し、サービス担当者会議を開催した。Aさんは「おなかが張ってあまり食べられないけれど、家で過ごせるようになってうれしいです」と話した。訪問看護師が、会議で発言する内容で優先度が高いのはどれか
①処方内容
②腹部膨満へのケアの必要性
③ヘルパーによる支援方法の提案
④予後を踏まえた療養期間の予測
②
102)在宅療養が開始されてから1か月が経過した。Aさんの病状は進行し、主治医は、長女と帰省した長男に対して、死が近づいていることを説明した。衰弱している母親を見た長男は「病院へ入院させたほうがいいのではないか」と言い、長女は、訪問看護師にどうしたらいいかと相談した。長女への訪問看護師の対応で適切なのはどれか
①「Aさんの意思を弟さん(長男)と一緒に聞いてみましょう」
②「医師に決めてもらう方が弟さん(長男)も納得するでしょう」
③「Aさんが1人のときに亡くなることもあるので入院も考えましょう」
④「Aさんは最期まで家にいたいと希望していたから、このままでいいです」
①
103)次の文を読み103~105の問いに答えよ。Aさん(68歳、女性)は、70歳の夫と2人で暮らしている。6年前にパーキンソン病と診断された現在、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。ヤールの重症度分類ステージⅢで、要介護1である。夫が付き添い、神経難病専門クリニックに杖を使って通院している。特定疾患医療受給者証を持っているが、在宅におけるサービスは利用していない。Aさんは足がすくんで転びやすくなったため受診したところ、レボドパ〈L-dopa〉の処方が増量になった。Aさんは「主治医から薬を1日4回飲むことになると説明を受けました。今までは何もなかったけど、薬の副作用にはどんなものがありますか」と外来看護師に相談した。副作用の説明で正しいのはどれか
①「難聴になることがあります」
②「体が勝手に動くことがあります」
③「低血糖を起こすことがあります」
④「呼吸が苦しくなることがあります」
②
104)3か月後Aさんは入浴中に夫が見ている前で転倒したが、外傷はなかった。その話を聞いた主治医から、安全な入浴ができるように、訪問看護師に依頼があった。訪問看護師が、訪問時にアセスメントする項目で最も優先するのはどれか
①浴室の室温
②ADLの日内変動
③夫の入浴介助の様子
④居室から浴室までの距離
②
105)Aさんは「家事は夫がしてくれて感謝しています。介護支援専門員とも相談しながら、自宅で暮らしていきたいと思っています」と訪問看護師に話した。Aさんへの提案で最も適切なのはどれか
①訪問介護の利用
②短期入所の利用
③車椅子での室内移動
④訪問リハビリテーションの利用
④
106)次の文を読み106~108の問いに答えよ。Aさん(85歳、男性)は、妻と2人で暮らしていたが、自宅で意識を消失して緊急入院した。検査の結果、右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断された。意識は回復したが左片麻痺があり、発症後3日からベッド上での関節可動域訓練(ROM訓練)が開始された。発症後8日Aさんは「ご飯が食べたい」と話した。左口角から流涎があるが、唾液は飲み込めている。日中、うとうとしていることもある。Aさんへの嚥下機能の間接訓練で適切なのはどれか
①義歯を外して行う
②ROM訓練の後に行う
③疲労状態を確認しながら行う
④覚醒が悪い日は訓練を中止する
③
107)発症後3週意識は明瞭となり、五分粥と軟菜の経口摂取もできるようになった。食事中、うまく飲み込めずに時々むせることがあり、食事摂取に40~50分かかっている。Aさんへの看護で適切なのはどれか
①水分摂取には吸い飲みを使う
②五分粥を摂取するときは大きいスプーンを使う
③嚥下するときは顔を右側に向ける
④食後は30分程度Fowℓer〈ファウラー〉位にする
④
108)発症後4週Aさんは順調に回復し、退院に向けての準備が進められた。妻から「この状態で家に帰ってきて大丈夫かしら」と看護師に相談があった。妻への看護師の対応で優先するのはどれか
①介護に対する不安について詳しく聴く
②特別養護老人ホームへの入所を勧める
③要介護認定の申請手続きについて説明する
④退院後に予測される問題について説明する
①
看護師国家試験 第102回の午後109~120
109)次の文を読み109~111の問いに答えよ。Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである。Aさんの褥瘡の深達度はどれか
①ステージⅠ
②ステージⅡ
③ステージⅢ
④ステージⅣ
③
110)2週後、Aさんの褥瘡は創面に肉芽組織と軟らかい壊死組織があり、周囲に新しい直径5mmの水疱ができていた。このときのケア方法として適切なのはどれか
①水疱はつぶす
②壊死組織は取り除かない
③微温湯で創面を洗浄する
④洗浄後は創面を乾燥させる
③
111)Aさん(85歳、男性)は、5年前に発症した右脳梗塞の後遺症のため、左半身麻痺がある。現在、療養病床に入院中である。右膝関節の軽度拘縮のため、ベッド上で過ごすことが多く、自力で体位変換をすることができない。全身の発汗が多く、便失禁と尿失禁とがあり、1日5回以上のオムツ交換を行っている。仙骨部に褥瘡を認め、創底の直径は5cm、創面は黄色、皮下脂肪組織までの欠損がある。毎日1回の褥瘡処置を行っている。現在のAさんは身長162cm、体重48kgである肛門周囲の皮膚は湿潤しており暗赤色であった。看護師の対応で適切なのはどれか
①殿部をアルカリ性石鹸で洗浄する
②肛門周囲の皮膚に保護オイルを塗布する
③肛門周囲の皮膚をマッサージする
④ベッドにウレタンマットレスを敷く
②
112)次の文を読み112~114の問いに答えよ。Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。産褥3日子宮底の高さは臍下3横指にあり硬度良好であった。乳房は軽度緊満しており、乳汁分泌がみられる。体温37.0℃、脈拍76/分、血圧124/72mmHgであった。訪室時、Aさんは「体がなんとなくだるいです理由もないのに涙が出てきます」と涙ぐんでいた。Aさんの状態として考えられるのはどれか
①産褥熱
②高血圧症
③産後うつ病
④マタニティブルーズ
④
113)看護師はベッドサイドの椅子に座り、Aさんから育児について分からないことが多いという話を聞いた。話し終えたAさんは「少しすっきりしたような気がします」と言った。このときの看護師の対応で優先度の高いのはどれか
①元気づける
②休息を促す
③精神科の受診を勧める
④母親として自覚するよう話す
②
114)産褥5日Aさんは「少しずつ育児ができるようになってよかったですが、自宅での育児は不安です」と話している。看護師の対応で最も適切なのはどれか
①児童相談所に連絡する
②保育所の利用を勧める
③新生児訪問の時期を早めるよう市町村保健師に依頼する
④子育てをしている親の会に退院直後から参加することを勧める
③
115)次の文を読み115~117の問いに答えよ。Aさん(37歳、初産婦)、会社員妊娠41週1日の午後11時に3,200gの女児を分娩した。妊娠や分娩の経過は順調であり、会陰切開術を受けた。分娩後2時間の子宮底の高さは臍下2横指、縫合部に異常はみられなかった。産褥1日午前5時、赤色悪露が少量みられた。子宮底の高さは臍上1横指で、膀胱部に軽度の膨満を触知したため、トイレでの排尿を促した。しかし、Aさんは「切開した傷が痛くて、排尿しようとしても出ません。どうしましょう」と看護師に相談してきた。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか
①「水分を摂(と)らないようにしてください」
②「腹部を温めてみましょう」
③「授乳をしてみましょう」
④「尿を管で取りましょう」
④
116)産褥3日Aさんは「退院後は避妊する予定です。母乳は1年以上続けたいと思います」と話している。看護師の説明で適切なのはどれか
①授乳期間中の避妊は必要ない
②1か月から経口避妊薬を使用する
③性生活を再開するときからコンドームを使用する
④2週にIUD〈子宮内避妊具〉を挿入してもらうよう勧める
③
117)産褥5日Aさんは「出産前は、職場に復帰しようと思っていましたが、今は仕事と育児とを両立できるか心配です。いろいろな制度があるとは聞いていますが、どのようなことができるのでしょうか」と看護師に相談した。Aさんへの説明で正しいのはどれか
①「退院直後から、お子さんを保育所に預けることができます」
②「お子さんが満2歳になるまで育児休業をとれます」
③「職場でお乳を搾る時間を1日4回とれます」
④「夫が育児休業をとることもできます」
④
118)次の文を読み118~120の問いに答えよ。Aちゃん(1歳2か月、女児)は、在胎38週2日、2,300g、新生児仮死状態で出生し、NICUで全身管理が行われた。人工呼吸器は3週後に離脱できたが、咳嗽反射が弱く嚥下障害がみられた。追視がなく、痙直性の四肢麻痺がみられるようになり、生後8か月で脳性麻痺と診断された。1歳の時点で小児病棟へ転棟し、退院に向けた準備を行っている。現在、身長と体重は年齢相当で、鼻腔から経管栄養を行っており、日常的に口腔内吸引が必要である。Aちゃんは第1子で、父親は会社員、母親は専業主婦である。Aちゃんへの経管栄養法で適切なのはどれか
①胃管挿入の長さは、鼻尖から胸骨剣状突起までの直線距離とする
②胃管挿入後は、注射器で空気を1mℓ注入して気泡音を確認する
③栄養剤を注入する前には毎回、胃内容物が吸引できるか確認する
④栄養剤を注入する際の姿勢は、仰臥位とする
③
119)退院に向けて、自宅でのケアを習得するために母親が付き添うことになった。母親は、看護師と一緒にAちゃんの沐浴を行うことを楽しみにしているが、眠っている。Aちゃんの頭をなでながら、「Aがこんなことになったのは私の責任だと思う。家で世話をするのは自信がないけど頑張るしかない。この先、どの様に育っていくのだろう」と話す。父親は仕事が忙しいが家事を行い、週末は必ず面会に訪れている。家族への看護で適切なのはどれか
①父親への沐浴指導は母親に任せる
②面会を増やせば母親が楽になると父親に伝える
③将来のことは考えても仕方がないと母親に話す
④Aちゃんのケアについて母親ができていることを認める
④
120)母親は経管栄養と口腔内吸引とを1人で実施できるようになったが、「退院したら、昼間、Aと2人だけで過ごすのは心配です。Aの具合が悪いときにはどうしたら良いのでしょう」と話す。Aちゃんが在宅療養に移行するために検討する内容で優先度が高いのはどれか
①保育所への入所
②訪問看護の依頼
③家事支援のヘルパーの依頼
④地域の子育てグループへの参加
②
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