平成26年2月16日(日)に実施された第103回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第100回保健師国家試験、第97回助産師国家試験、第103回看護師国家試験及び第103回看護師国家試験(追加試験)の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第103回の午前61~70
61)小児の睡眠の特徴で正しいのはどれか
①新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%である
②乳児の睡眠は単相性である
③成長に伴いレム睡眠が増加する
④10歳ころから成人と同じ睡眠覚醒リズムになる
①
62)小児の一次救命処置において推奨される胸骨圧迫の速さ(回数)はどれか
①少なくとも約80回/分
②少なくとも約100回/分
③少なくとも約120回/分
④少なくとも約140回/分
②
63)若年性特発性関節炎で入院している子どもの看護で適切なのはどれか
①発疹が出現している間は隔離する
②Raynaud〈レイノー〉現象の観察をする
③強い関節痛があるときは局部を安静に保つ
④朝のこわばりのある関節部位に冷湿布を貼用する
③
64)妊娠期の不快症状と予防の組合せで適切なのはどれか
①下肢のけいれん—葉酸の摂取
②つわり—においの強い食事の摂取
③便秘—緩下薬の服用
④腰痛—硬めのマットレス使用
④
65)正常の分娩経過で正しいのはどれか
①分娩開始は、陣痛が15分間隔に起こった時点とする
②発露は、胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である
③分娩第2期は、破水から胎児が娩出するまでの期間である
④分娩第4期は、胎盤娩出から会陰縫合術の終了までの期間である
②
66)成乳と比較した初乳の特徴で正しいのはどれか
①ラクトアルブミンが少ない
②IgAの含有量が多い
③粘稠度が低い
④乳糖が多い
②
67)Aさんは妊娠28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか
①「つらいですよね」
②「早く忘れましょう」
③「元気を出してください」
④「次の妊娠について考えましょう」
①
68)知覚障害はどれか
①幻味
②離人症
③注察妄想
④観念奔逸
①
69)認知行動療法で最も期待される効果はどれか
①過去の心的外傷に気付く
②薬物療法についての理解が深まる
③物事の捉え方のゆがみが修正される
④自分で緊張を和らげることができるようになる
③
70)精神科デイケアの目的はどれか
①陽性症状を鎮静化する
②社会生活機能を回復する
③家族の疾病理解を深める
④単身で生活できるようにする
②
看護師国家試験 第103回の午前71~80
71)現在の日本の精神医療について正しいのはどれか
①精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのはうつ病である
②人口当たりの精神病床数はOECD加盟国の中では低い水準である
③各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている
④精神障害者保健福祉手帳制度によって外来通院の医療費の給付が行われる
③
72)Aさん(75歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右半身不全麻痺がある。妻と2人で暮らしている。Aさんは要介護3で、訪問介護と通所介護のサービスを利用している。今回、Aさんは誤嚥性肺炎で入院し、退院後に訪問看護が導入された。訪問看護師と介護支援専門員が連携して行う内容で優先度が高いのはどれか
①住宅改修の検討
②Aさんの妻の介護負担の把握
③肺炎予防に必要なケアの提供
④訪問介護による生活援助内容の確認
③
73)訪問看護に関する制度について正しいのはどれか
①平成12年(2000年)に老人訪問看護制度が創設された
②サービスを開始するときに書面による契約は不要である
③訪問看護ステーションの管理者は医師もしくは看護師と定められている
④介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である
④
74)Aさん(70歳、男性)は、肺癌で骨転移がある。現在、Aさんは入院中であるが、積極的な治療は望まず「家で静かに暮らしたい」と在宅療養を希望し、24時間体制の訪問看護を利用する予定である。介護者であるAさんの妻と長男夫婦は「不安はあるが本人の希望をかなえたい」と話している。退院前に、訪問看護師が行うAさんの家族への支援で優先度が高いのはどれか
①訪問介護の利用を勧める
②家族全員の看取りの意思確認をする
③退院後の処置を習得するよう指導する
④相談にいつでも対応することを伝える
④
75)Aさん(45歳、女性)は、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉のため自宅で療養中である。Aさんは球麻痺症状が出現したため、経口摂取に加え、胃瘻による経管経腸栄養管理が開始された。Aさんは球麻痺症状が出現したため、経口摂取に加え、胃瘻による経管経腸栄養管理が開始された。訪問看護師が行うAさんとAさんの家族への指導で適切なのはどれか
①水分は経口による摂取を勧める
②注入時間に生活パターンを合わせる
③経口摂取中の体位は頸部前屈位とする
④胃瘻からの半固形化栄養剤の使用は禁止する
③
76)災害派遣医療チーム〈DMAT〉の活動で最も適切なのはどれか
①被災地域内での傷病者の搬送を行う
②外傷後ストレス障害〈PTSD〉に対応する
③長期の継続的な医療を行う
④被災地の復興を手助けする
①
77)災害急性期に看護師が行う対応で最も適切なのはどれか
①情報の発信を行う
②各自の判断で行動する
③災害現場の安全を確保する
④災害時の対応マニュアルの見直しをする
③
78)日本における政府開発援助〈ODA〉の実施機関として正しいのはどれか
①国際協力機構〈JICA〉
②世界保健機関〈WHO〉
③国連開発計画〈UNDP〉
④赤十字国際委員会〈ICRC〉
①
79)外国人の女性が38.5℃の発熱のある生後3か月の男児を連れて小児科診療所を受診した。男児は上気道炎であった。女性は日本語が十分に話せず、持参した母子健康手帳から、男児はこの女性と日本人男性との間に生まれた子どもであることが分かった。夫は同居していない様子である。外来看護師は女性に、4か月児健康診査のことを知っているかを尋ねたが、女性は看護師の質問を理解できない様子であった。男児が4か月児健康診査を受診するために必要な社会資源で優先度が高いのはどれか
①近所の病院
②通訳のボランティア
③児童相談所の児童福祉司
④地区担当の母子健康推進員
②
80)Aさん(42歳、男性、事務職)は、仕事中に居眠りをすることが多いと上司に注意されていた。Aさんの睡眠時間は7時間であり、寝つきはよいが、毎朝寝不足と頭痛を感じていた。最近、いびきがひどいと家族から指摘されて受診した。Aさんは、身長165cm、体重81kgである最も考えられるのはどれか
①うつ病
②低血糖症
③もやもや病
④ナルコレプシー
⑤睡眠時無呼吸症候群
⑤
看護師国家試験 第103回の午前81~90
81)慢性腎臓病の説明で正しいのはどれか
①糖尿病腎症は含まれない
②病期分類の5期から蛋白制限が必要である
③腎障害を示す所見が1週間持続すれば診断できる
④糸球体濾過量〈GFR〉の低下は診断の必要条件である
⑤病期の進行とともに心血管疾患のリスクも高くなる
⑤
82)血圧を上げる作用を持つのはどれか
①レニン
②インスリン
③カルシトニン
④ソマトスタチン
⑤ノルアドレナリン
①⑤
83)視床下部の機能で正しいのはどれか
①感覚系上行路の中継核
②長期記憶の形成
③摂食行動の調節
④飲水行動の調節
⑤姿勢の調節
③④
84)日和見感染症の起炎菌はどれか
①メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
②インフルエンザ菌
③A群溶連菌
④髄膜炎菌
⑤緑膿菌
①⑤
85)予防接種法において定期予防接種の対象となっている疾患はどれか
①結核
②水痘
③風しん
④B型肝炎
⑤流行性耳下腺炎
①③
86)患者の権利について適切なのはどれか
①患者は自分の医療情報を見ることができる
②患者は一度同意した治療方針を拒否できない
③患者はセカンドオピニオンを受けることができる
④患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る
⑤患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる
①③
87)Aさん(43歳、女性)は、吐血のため救急搬送され、食道静脈瘤破裂に対して緊急止血術が行われた。腹水は少量認められるが、経過は良好で近日中に退院を予定している。Aさんは5年前に肝硬変と診断されている。Aさんへの食事指導で正しいのはどれか
①高蛋白食とする
②塩分は制限しない
③食物繊維を控える
④固い食品を控える
⑤辛い香辛料を控える
④⑤
88)小児の痛みについて正しいのはどれか
①新生児の痛みを把握する指標はない
②薬物療法よりも非薬物療法を優先する
③遊びは痛みに対する非薬物療法の1つである
④過去の痛みの経験と現在の痛みの訴えには関係がない
⑤3歳ころから痛みの自己申告スケールの使用が可能である
③⑤
89)思春期の続発性無月経について正しいのはどれか
①ストレスが誘因となる
②乳房の発育は認められない
③急激な体重の増減と関連する
④妊娠を希望するまで治療対象にならない
⑤診断基準の1つとして5か月以上の月経停止がある
①③
90)Aさん(85歳、女性)は、1人で暮らしており、高血圧症がある。物忘れがあり、要支援2の認定を受け、通所介護と訪問看護を利用している。Aさんの長女は他県に住んでいる。Aさんの健康状態を維持するために訪問看護師が行う支援で適切なのはどれか
①服薬管理の支援を行う
②水分の摂取状況を把握する
③入浴は控えるよう助言する
④Aさんの長女に同居を勧める
⑤1人で買い物に行かないように助言する
①
②
看護師国家試験 第103回の午前91~100
91)次の文を読み91〜93の問いに答えよ。Aさん(25歳、男性、飲食店店員)は、2日前から感冒様症状があり、夜眠ろうとして横になるが息苦しくて眠れず、歩行や会話も困難となり、夜間にAさんの家族に伴われて救急外来を受診した。Aさんは地元の野球チームに所属し、休日には練習に参加しており、最近は残業が多く疲れていた。診察の結果、Aさんは気管支喘息発作と診断され、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドによる治療と、フェイスマスクによる酸素投与が行われたが、改善がみられず入院した。入院後Aさんは呼吸困難が増悪し、発汗が著明であった。入院時の看護として最も適切なのはどれか
①全身清拭を行う
②セミファウラー位とする
③鎮静薬の処方を医師に相談する
④口をすぼめてゆっくりと息を吐くように指導する
④
92)入院後も呼吸困難や頻呼吸、呼吸性アシドーシスの改善が認められないため、鼻と口を覆うタイプのマスクを用いた。非侵襲的陽圧換気を行うことになったAさんへの説明で最も適切なのはどれか
①「話すことができなくなります」
②「機械に合わせて呼吸してください」
③「自分でマスクの位置を調整しても問題ありません」
④「空気の圧力がかかるので息が吐きにくくなります」
④
93)非侵襲的陽圧換気開始後、Aさんの呼吸状態は改善した酸素投与も中止となり、歩行時の呼吸状態の悪化を認めないため、近日中に退院する予定である退院時のAさんへの指導として最も適切なのはどれか
①「食事の制限はありません」
②「お酒は飲んでも大丈夫です」
③「野球はやめた方がよいでしょう」
④「ストレスをためないようにしてください」
④
94)次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(56歳、女性、主婦)は、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出術予定で入院したAさんは身長152cm、体重70kgである。Aさんは、数年前に脂質異常症を指摘されたが、治療は受けていない。Aさんにその他の特記すべき既往歴はない。看護師が手術オリエンテーションを行い、術後の入院期間は5日程度であると説明した。これに対してAさんは「1年前に妹が同じ手術を受けたが、食事はしばらく食べられず3週間以上管が抜けなかった。自分にも妹と同じ合併症が起こるかもしれない」と心配そうに話した。Aさんが心配している、妹に起こった合併症はどれか
①肺炎
②胆汁瘻
③皮下気腫
④深部静脈血栓症
②
95)Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた。手術中にAさんに最も生じやすいのはどれか
①褥瘡
②高体温
③無気肺
④脳梗塞
③
96)Aさんの術後の経過は良好で、退院の許可が出た退院後の日常生活に関する説明で正しいのはどれか
①「低蛋白食を摂取してください」
②「退院後1週間、シャワー浴はできません」
③「脂肪分の多い食事で下痢をするかもしれません」
④「傷口が赤く腫れてきたら、消毒をしてください」
③
97)次の文を読み97〜99の問いに答えよ。Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。Aさんは1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住むAさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。Aさんは入院直後、MMSE30点であった。さらに情報収集のために用いるアセスメント方法で適切なのはどれか
①DBDスケール
②ホーエン・ヤールの重症度分類
③GDS15
④ボルグスケール
③
98)入院後1週間、Aさんの脱水状態は改善したが臥床していることが多い。Aさんは排泄時、手すりを使用してトイレまで歩行しているが、着脱動作が緩慢で失禁することが多い。Aさんへの排泄援助として最も適切なのはどれか
①オムツの着用を勧める
②トイレに近い病室に変更する
③膀胱留置カテーテルの挿入を検討する
④ポータブルトイレをベッドの横に設置する
②
99)入院後1か月、Aさんは内服治療により病棟内での活動範囲が拡大し、自立してできることが増えた。自宅へ退院することが方針として決まったが、Aさんは「家に帰っても1人だし、大丈夫かしら」と看護師に話す。このときのAさんへの声かけで適切なのはどれか
①「薬の量を増やしてもらえるように主治医に相談してみましょう」
②「1人でできることが多くなったからもう大丈夫ですね」
③「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」
④「お疲れのようなのでベッドで休みましょう」
③
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