平成27年2月22日(日)に実施された第104回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第104回の午後100~111
100)次の文を読み100~102の問いに答えよ。Aちゃん(生後4か月、女児)は、4、5日前から鼻汁と咳嗽とが出現し、今朝から38.0~39.0℃の発熱があり水分摂取が困難になったため受診した。検査の結果、RSウイルス抗原陽性で急性細気管支炎と診断され入院した。入院時、口唇色と顔色はやや不良、呼吸数60/分、心拍数150/分、血圧90/52mmHgで、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%であった。血液検査データは、赤血球480万/μL、Hb12.8g/dL、Ht39%、白血球12,000/μL、CRP5.5mg/dL。動脈血液ガス分析は、動脈血炭酸ガス分圧〈PaCO2〉45Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉58Torrであった。胸部エックス線撮影で肺野に異常陰影は認められない。このときのAちゃんに準備すべき物品で優先度が高いのはどれか
①加湿器
②酸素吸入器
③人工呼吸器
④酸素濃度計
②
101)Aちゃんは点滴静脈内注射が開始された。処置中、Aちゃんは嗄声で啼泣したが流涙はなく、激しく抵抗することもなかった。処置後に病室に戻ったが、皮膚の弾性が低下しており活気がない。看護師がAちゃんの呼吸状態と併せて観察する項目で優先度が高いのはどれか
①哺乳力
②排尿の有無
③排便の有無
④瞳孔の大きさ
⑤眼瞼結膜の色調
②
102)去痰薬の吸入を1日3回と、口腔内と鼻腔内の吸引を適宜実施するよう指示が出された。去痰薬の吸入後、聴診をすると呼吸数48/分、右上葉の呼吸音が減弱していた。Aちゃんの排痰を促す適切な体位はどれか
①仰臥位
②腹臥位
③右側臥位
④左側臥位
④
103)次の文を読み103~105の問いに答えよ。Aちゃん(10歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。発熱と顔色不良とを主訴に受診し入院した。血液検査データは、Hb7.5g/dL、白血球75,000/μL、血小板4万/μLであった。骨髄検査の結果、急性リンパ性白血病と診断された。医師が両親とAちゃんに対し、病名と今後の抗癌薬治療および入院期間について説明した。両親はショックを受けていたが現実を受け止め、今後の治療や入院生活について質問し、経済的な不安を訴えた。両親に情報提供する社会資源として最も適切なのはどれか
①養育医療
②自立支援医療
③児童扶養手当
④高額療養費制度
⑤小児慢性特定疾病の医療費助成
⑤
104)Aちゃんは中心静脈カテーテルが挿入され、寛解導入療法が開始された。抗癌薬が投与された後、維持液が100mL/時間で持続点滴されている。Aちゃんは「点滴が始まってから何回もおしっこが出ている。点滴を止めてほしい」と話している。Aちゃんの訴えを受け止めた後のAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか
①「体の中の水分が足りないから必要だよ」
②「白血病細胞をやっつけるために必要だよ」
③「ご飯があまり食べられないからご飯の代わりに必要だよ」
④「やっつけた白血病細胞のせいで腎臓を悪くしないために必要だよ」
④
105)入院後4か月Aちゃんは治療が順調に進み、退院して外来で維持療法を行うことになった。今後、学校に通学する際のAちゃんと母親に対する説明で適切なのはどれか
①「体育は見学してください」
②「授業中はお母さんが付き添いましょう」
③「給食はみんなと同じものを食べてよいです」
④「日焼け止めクリームを塗って登校してください」
⑤「体育館での全校集会は参加しない方がよいです」
③
106)次の文を読み106~108の問いに答えよ。Aさん(30歳、経産婦)は、妊娠40週1日で、妊娠経過は順調であった。本日、午後5時に体重3,900gの女児を正常分娩した。会陰縫合術を受け、分娩時出血量は400mLであった。分娩後2時間のバイタルサインは、体温37.1℃、脈拍64/分、血圧124/70mmHgであった。排尿後の子宮底の位置は臍下1横指、収縮良好で帰室した。Aさんは午後8時に夕食を全量摂取し、寝るまでに水を500mL飲んだ。翌朝、Aさんは体温36.8℃、血圧116/66mmHgであった。就寝後から朝まで排尿はなく、子宮底の位置は臍高であった。Aさんの状態で経過観察してよいのはどれか
①尿意なし
②脈拍110/分
③軟らかく触れる子宮底
④会陰切開縫合部の痛み
④
107)産褥2日の午前10時Aさんは「9時に排尿したとき、3cm大の血の塊がでました。大丈夫でしょうか」と訴えた。このとき、体温37.3℃、脈拍60/分、血圧120/64mmHgであった。子宮底の位置は臍高で軟らかく、後陣痛は増強している。乳管口の開口数は左右3本ずつで初乳がみられ、乳房の発赤、硬結および熱感はない。Aさんの状態で最も疑われるのはどれか
①産褥熱
②乳腺炎
③子宮復古不全
④妊娠高血圧症候群
③
108)産褥5日Aさんは、体温37.0℃、脈拍66/分、血圧118/60mmHgであった。子宮底の位置は恥骨結合上3横指で、収縮は良好であった。児の体重は3,950g直接授乳を行っており、授乳後に児はよく眠っていた。Aさんは「本日退院ですが、家で気をつけることは何でしょうか教えてください」と話す。Aさんに対する退院後の指導で最も適切なのはどれか
①「浴槽に入って清潔にしてください」
②「蛋白質の少ない食事にしてください」
③「悪露が増えたときは受診してください」
④「授乳ごとに赤ちゃんへ追加のミルクを飲ませてください」
③
109)次の文を読み109~111の問いに答えよ。Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病と診断された。Aさんは「いつも体がだるくて、何もしたくない生きていても皆に迷惑がかかるだけだ」と話す。体重減少と長期間続く不眠のため、疲れ果てた様子をみせていることから、その日のうちに入院し、薬物治療が開始された。入院当日の観察項目で優先度が高いのはどれか
①清潔状態
②水分摂取量
③意識レベル
④他者との交流状況
②
110)入院後1か月Aさんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は3分の2を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。この時点の認知療法で修正するのはどれか
①内向的な性格
②低下した意欲
③Aさんと息子との親子関係
④自分は役に立たない人間だという考え方
④
111)入院後2か月Aさんと夫は主治医と面接し、Aさんは2週後に自宅への退院を目指すことになった。それ以来、Aさんは積極的に病院から自宅への外出を繰り返すようになったが、夕方に外出から戻ってくるとすぐにベッドに入り臥床していることが多くなった。うつ病の回復期にあるAさんについて情報収集する項目で優先度が高いのはどれか
①希死念慮の確認
②外出時の食事内容
③外出時の服薬状況
④Aさんの家庭の経済状況
①
看護師国家試験 第104回の午後112~120
112)次の文を読み112~114の問いに答えよ。A君(8歳、男児)は、携帯型電子ゲームやサッカーが好きである。A君は宿題をしているときに、突然意識を失い、10数秒持続する四肢の屈曲を伴うけいれんを起こした。その後、全身の筋肉の収縮と弛緩を繰り返すけいれんが10秒程度続き、A君の呼吸は停止しチアノーゼが認められた。けいれんが終了し呼吸は回復したが、意識障害が持続していたため病院に救急搬送された。A君の意識は徐々に回復したが、健忘が認められる。頭部CT検査で頭部外傷は認められなかった。A君は、てんかんの疑いで入院した。A君に対する検査で優先度が高いのはどれか
①脳波検査
②知能検査
③人格検査
④脳脊髄液検査
①
113)入院後1週A君は同じ病室に入院している他の患児と話したり、漫画を読んだりしてベッド上で過ごしている。入院後は抗てんかん薬を服用し、発作はみられていない。このときのA君への指導内容で最も適切なのはどれか
①1人で入浴する
②病棟の外を散歩する
③好きな携帯型電子ゲームで遊ぶ
④病棟レクリエーションへ参加する
④
114)入院後1か月A君の退院が決定した。A君の家族に対する説明として適切なのはどれか
①「今後サッカーは禁止です」
②「十分な睡眠をとらせてください」
③「規則正しい服薬が発作を予防します」
④「発作時はタオルを口にかませてください」
⑤「学校には病名を知らせる必要はないでしょう」
②③
115)次の文を読み115~117の問いに答えよ。Aさん(35歳、男性、建設業)は、両親と3人で暮らしている。3年前の仕事中に屋根から転落して、第12胸髄を損傷した。1か月前から車で作業所に通い、作業中はほとんど車椅子に座っている。週1回の訪問看護を利用している。訪問時、仙骨部に軽度の発赤を認めた褥瘡悪化予防のためにAさんに勧める内容で最も適切なのはどれか
①仙骨部のマッサージを行う
②リクライニング式の車椅子を利用する
③作業中にプッシュアップ動作を取り入れる
④座るときは膝関節と股関節を60度に曲げる
③
116)Aさんは繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を行っている。排尿のセルフケアの指導として最も適切なのはどれか
①24時間の蓄尿を勧める
②カテーテルの挿入は無菌操作で行う
③急に発熱した場合は医師に連絡する
④カテーテルを保管するケースの消毒薬は週1回交換する
③
117)Aさんは自宅のトイレを利用している。緩下薬を内服し、2日に1回浣腸を行っている。猛暑が続く8月の訪問時にAさんは最近便秘がちで尿量も少ないと訪問看護師に繰り返し訴えた。Aさんへの対応で最も適切なのはどれか
①水分の摂取を促す
②浣腸の回数を増やす
③ポータブルトイレの利用を勧める
④医師に別の緩下薬の処方を依頼する
①
118)次の文を読み118~120の問いに答えよ。Aさん(37歳、女性)は、アジアの出身で1か月前に日本人の夫(40歳)と娘(12歳)とともに日本に移住した。母国語以外に簡単な言葉であれば日本語と英語は理解できる。Aさんは、胸のしこりに気付き1週前に受診し、検査の結果、乳癌と診断された。今後の治療について説明を受けるため外来を受診する予定である。夫から「仕事が忙しく説明に立ち会えない。妻は日本語が上手く話せないがどうしたらいいですか」と電話があった。このときの夫への対応で最も適切なのはどれか
①電話で治療について説明をする
②英語での説明を医師に依頼すると伝える
③母国語の医療通訳者について情報提供する
④日本語を話せる娘に通訳を依頼するよう伝える
③
119)術前に、術後のAさんの苦痛の程度を確認する方法について説明をすることになった。苦痛の程度を確認する方法として最も適切なのはどれか
①日本語を覚えてもらう
②母国語と日本語の対応表を準備する
③ナースコールの利用方法を説明する
④まばたきをしてもらうことを説明する
②
120)入院初日Aさんの同室の患者から、Aさんが使用している。香水の香りが強く気分が悪くなるので何とかして欲しいという訴えがあった。病棟では香水の使用を禁止している。看護師が香水の使用をやめるように説明すると、Aさんは医師から何も言われていないと話した。Aさんへの対応で最も適切なのはどれか
①個室の利用を勧める
②同室の患者を説得する
③禁止されている理由を説明する
④医師の許可があればよいと説明する
③
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