平成28年2月14日(日)に実施された第105回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験、第105回看護師国家試験の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第105回の午前100~110
100)A君 (6歳、男児)は、昨日午後から今朝にかけて5回の下痢便がみられ、体温が38.0 ℃であったため祖母と受診した。経口摂取は昨日の昼食が最後である。便の簡易検査の結果、ノロウイルスによる胃腸炎と診断され、個室に入院した。入院後、末梢静脈ラインが左手背に留置され持続点滴が開始された。両親は同様の症状があるため面会できない。祖母が帰宅した後、A君は顔をしかめ、側臥位で膝を腹部の方に寄せ抱えるようにしている。バイタルサインは、体温37.5 ℃、呼吸数36/分、心拍数120/分であった。このときのA君に行う看護として最も適切なのはどれか
①起座位をとらせる
②食事の開始を検討する
③好きな玩具で遊ばせる
④痛みの程度を評価する
⑤解熱鎮痛薬を服薬させる
④
101)A君は病室内のトイレで排泄をしていた。看護師はマスク、手袋およびエプロンを着用しA君の排泄介助を行っていると、下着に便が付着していることに気付いた。看護師は、すぐにA君の下着を脱がせ流水で便を洗い流した。下着の処理の方法で正しいのはどれか
①病室内のゴミ箱に捨てる
②病室内でエタノールに浸す
③病室内で次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸す
④病室外の汚物処理室の感染性廃棄物用の容器に捨てる
③
102)入院後3日になったが両親は来院できない状況が続いている。A君は下痢が改善し体温も下がり笑顔がみられるようになった。看護師が清拭しながらA君と話していると「僕がお母さんの言うことを聞かなかったから病気になっちゃったんだ」と話した。このときの看護師の対応で適切なのはどれか
①「お母さんが悲しむからそんなことを言ってはいけないよ」
②「気持ちは分かるけれど病気になったのはA君のせいではないよ」
③「A君の言うとおりだとすると入院している子はみんな悪い子なのかな」
④「お母さんの言うことを聞いていたら病気にならなかったかもしれないね」
②
103)次の文を読み103〜105の問いに答えよ。Aちゃん(生後5か月、女児)は、出生時、腟の後方に瘻孔があり、腸内容物が排出され、低位鎖肛と診断された他に奇形は認められず、瘻孔は腟と尿道に交通していなかったため、体重増加を待って会陰式肛門形成術を行う予定とされていた。Aちゃんは順調に体重が増加しており、定期受診のため来院した。受診時の観察項目で優先度が高いのはどれか
①活気
②腹部膨満
③腹部腫瘤
④チアノーゼ
②
104)Aちゃんは、定期受診の1か月後、予定どおり会陰式肛門形成術を行った術後2日、1日に6回の排便があり、造設された肛門周囲に発赤がみられている。排便後の対応で最も適切なのはどれか
①石けんで洗浄する
②微温湯で洗浄する
③お尻拭きシートで拭き取る
④ポビドンヨードで消毒をする
②
105)術後2週、全身状態や創部の状態が安定し、肛門拡張のためのブジーが開始された退院後もブジーを継続するため母親に指導を行うことになった。ブジーの指導で正しいのはどれか
①「食後は避けてください」
②「腹臥位で行ってください」
③「できるだけ深く入れてください」
④「排便があった日は行わなくてよいです」
⑤「直腸の向きに沿ってゆっくり入れてください」
①
⑤
106)次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(20歳、女性、大学生)は、最近、同じ大学に所属するパートナー(21歳、男性)との性交後に白色帯下が増えた。外陰部に腫瘤はみられず搔痒感や痛みはないが、時々、下腹部に痛みがあった。Aさんは性感染症<STD>を疑い、1人で産婦人科クリニックを受診した。診察時の体温36.8 ℃、脈拍62/分であった。Aさんの状態に最もあてはまる性感染症<STD>はどれか
①性器ヘルペス
②尖圭コンジローマ
③腟トリコモナス症
④性器クラミジア感染症
④
107)Aさんは「彼とは交際を続けたいので、性感染症<STD>のことは黙っていてもよいですか今日、相談に来たことも彼には話していません」と看護師に話した。Aさんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか
①パートナーには話さなくてもよいと伝える
②パートナーに来院を促す電話をすると伝える
③Aさんが通う大学の保健センターの看護師に相談するよう勧める
④性感染症<STD>に罹患したことをAさんからパートナーに伝えるよう勧める
④
108)Aさんは医師から「パートナーにも感染の可能性があるので性交渉をしないように」と説明を受けたAさんは看護師に「パートナーとはいつから性交渉をしてもよいですか」と相談した。性交渉を再開する時期の説明で正しいのはどれか
①処方された内服薬をAさんが飲み終えた後
②Aさんの性感染症<STD>の症状がなくなった後
③パートナーが性感染症<STD>の検査を受けた後
④Aさんとパートナーの性感染症<STD>の治癒が確認された後
④
109)次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(36歳、経産婦)は、夫と長男(3歳)との3人で暮らしている。妊娠40週0日、午前9時にAさんは陣痛開始のため入院した。このときは未破水であった。午後1時、体温36.8 ℃、脈拍64/分、血圧126/70 mmHg であった。Aさんに分娩監視装置を装着したところ、陣痛間欠4分、胎児心拍数基線は140 bpmで、一過性徐脈はみられなかった。午後2時、破水感があり医師が診察したところ、子宮口は7cm開大であり、羊水の流出がみられた。この時点でのAさんのアセスメントで適切なのはどれか
①胎児頻脈
②前期破水
③分娩第1期
④妊娠高血圧症候群
③
110)午後2時30 分、Aさんは3,300 g の女児を正常分娩した。分娩時の出血量は200 mLであった。産褥3日、体温37.0 ℃、脈拍76/分、血圧118/60 mmHgであった。血液データは、Hb 11 g/dL、Ht 35 % であった。子宮底の位置は臍下2横指で硬く、赤色の悪露がみられた。乳房は左右とも張り、乳管の開口数は3本ずつで黄色の乳汁が分泌している。乳頭の伸びは少なく児が吸啜するまでに時間がかかっている。看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか
①鉄分の多い食事を勧める
②子宮底に冷罨法を行う
③乳頭のケアを行う
④授乳を中止する
③
看護師国家試験 第105回の午前111~120
111)産褥4日、Aさんの体調は回復し、退院が決定した。夫に連れられて来た長男が赤ちゃんを珍しそうに見ている。Aさんは退院後に長男の退行現象が現れることを心配している。Aさんへの説明で適切でないのはどれか
①「長男と2人きりになる時間をつくるようにしましょう」
②「長男と一緒に赤ちゃんのおむつを交換しましょう」
③「長男にしっかりするように話しましょう」
④「長男をほめて安心させましょう」
③
112)次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん (42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。Aさんに認められるのはどれか
①病的酩酊
②妻との共依存
③コルサコフ症候群
④アルコールに対する耐性
④
113)入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。考えられるのはどれか
①振戦せん妄
②アルコール幻覚症
③レム睡眠行動障害
④急性アルコール中毒
①
114)その後、薬物治療によって興奮は改善した肝機能も改善し、夜間もよく眠れるようになったため、退院が決定した。Aさんに対する退院時の説明で適切なのはどれか
①「仕事は辞めましょう」
②「断酒会に参加しましょう」
③「集団精神療法を受けましょう」
④「飲酒しない日を週1日設けましょう」
⑤「生活行動を家族に記録してもらいましょう」
②
③
115)次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん (42歳、女性)は、2年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>の確定診断を受けた。夫( 50歳)と長女 (16歳)と自宅で過ごしている。Aさんは「なるべく口から食べるようにしたい」と話し、食事と併せて胃瘻から栄養剤の注入を行っている。要介護2の認定を受け、訪問看護および訪問介護を利用している。食事の介助を行う夫から、訪問看護師に「介助の方法が良くないのか、妻はうまく飲み込めていません」と相談の電話があった。夫に対する訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか
①「食事の介助に時間をかけましょう」
②「胃瘻からの栄養量を増やしましょう」
③「介助方法に問題があるかもしれません」
④「嚥下食の宅配サービスを頼んでみましょう」
⑤「飲み込みの状態に応じた食事を一緒に考えましょう」
⑤
116)6か月後、Aさんは呼吸障害と嚥下障害とが進行し、気管切開による人工呼吸療法を開始するために入院した。退院に向けて病棟看護師が行う家族への気管内吸引の説明として最も適切なのはどれか
①夜間に定期的な吸引を行う
②就寝前に体位ドレナージを行う
③気道内圧が低下したら吸引する
④吸引時は気管カニューレのカフ圧を上げる
②
117)Aさんは要介護5に区分が変更され、自宅で療養通所介護を利用することになった。退院後1か月、Aさんは療養通所介護の看護師に「ゆっくりお風呂に入ってみたい」と文字盤を使って話した。入浴を開始するにあたり、看護師と介護職員との間でカンファレンスを行うことになった。検討する内容として優先順位が高いのはどれか
①夫の介護負担
②座位の保持能力
③緊急時の対応方法
④入浴後の人工呼吸器の回路交換の方法
⑤入浴時の関節可動域<ROM>訓練の実施
③
118)次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aさん( 50歳、女性)は、子宮頸癌の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞の後遺症で不全麻痺がある経済的には安定している子どもはいない。病棟看護師はAさんと夫とを交えてカンファレンスを行った。夫は「妻は体力がとても落ちて、見ているのがつらいです病気が進行すると動けなくなると聞きました私は介護に自信がありません」と不安を訴えた。Aさんと夫への今後の不安に対する対応として最も適切なのはどれか
①生活保護の手続きをするよう促す
②要介護認定の申請手続きをするよう促す
③家事をしてくれる人を雇用するよう促す
④訪問リハビリテーションの利用を勧める
②
119)看護師が退院に向けて最も連携すべき職種はどれか
①理学療法士
②管理栄養士
③介護支援専門員
④保健所の保健師
③
120)退院後1か月訪問看護ステーションの看護師が訪問した際、夫から「妻は痛みで苦しんでいる様子はないトイレと食事以外は眠っていることが多く、このまま死んでしまうのでしょうか家で看取ることができるか不安です」と相談を受けた。夫への支援で最も適切なのはどれか
①夫に頑張るよう励ます
②病院に入院するよう提案する
③麻薬の量を増やすことを提案する
④Aさんが希望する看取りの場について再度話し合う
④
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