平成30年2月18日(日)に実施された第107回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第107回の午後103~111
103)次の文を読み103~105の問いに答えよ。A君(13歳、男子)。2週前から下腿の紫斑、腹痛、膝関節の疼痛が出現し、近くのクリニックを受診した。血尿および蛋白尿も認められたため、病院を紹介され受診した。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。身体所見:体温36.7 ℃、血圧110/66mmHg。意識清明腹痛、浮腫なし。両膝関節の軽度の疼痛があるが、腫脹および発赤なし両下腿に紫斑が散在している。検査所見:血液所見:赤血球470万/μL、白血球5,600/μL、血小板21万/μL。プロトロンビン活性〈PT活性〉105%(基準値80~120%)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉32.0秒(基準対照31.2秒)クレアチニン0.56mg/dL、アルブミン3.7g/dL、CRP0.1mg/dL。補体価(CH50)41IU/mL(基準値30~45IU/mL)、抗核抗体陰性。尿所見:蛋白3+、潜血2+、赤血球50~99/1視野。A君の状態から最も考えられる疾患はどれか
①川崎病
②血友病
③急性リンパ性白血病
④全身性エリテマトーデス〈SLE〉
⑤ヘノッホ・シェーンライン〈IgA血管炎〉
⑤
104)その後6か月間、A君は外来で経過観察となった。関節症状および紫斑は自然に消失したが、尿の異常と低蛋白血症は変わらず、その他の所見も変化がなかった。A君の尿の異常の確定診断をするために最も重要な検査はどれか
①腎生検
②咽頭培養
③腹部MRI
④クレアチニンクリアランスの測定
①
105)検査の結果、A君は2年間のステロイド治療が必要と判断された。1か月後に外来受診の予定である。看護師からA君に対して行う生活指導で適切なのはどれか
①「水分を積極的に摂取してください」
②「紫斑が出現したら記録してください」
③「蛋白質を制限した食事を摂取してください」
④「日光をなるべく浴びないようにしてください」
②
106)次の文を読み106~108の問いに答えよ。Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。このときにAさんから収集する情報として優先度が高いのはどれか
①排尿回数
②咳嗽の有無
③鎮咳薬の使用状況
④生活上のストレス要因
③
107)Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。Aさんへの対応として最も適切なのはどれか
①服薬心理教育を実施する
②ハローワークを紹介する
③生活技能訓練〈SST〉を勧める
④薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する
④
108)さらに2週が経過し、Aさんは鎮咳薬の服用をやめる意思を強く固め、今後の依存症の治療について真剣に考えるようになった。Aさんの父親はAさんが幼少期のころ死亡しており、Aさんは母親と2人で暮らしていた。母親は週2回面会に来て、Aさんに対して小さな子どもに接するように世話をしていた。担当看護師が母親と今後のことについて話すと、母親は「私が何とかします。私しかこの子の力になってあげられないのです。本当はもっとAにしっかりして欲しい。でも、そう言うとAは怒ってしまいます」と話した。担当看護師の母親への声かけで適切なのはどれか
①「親戚で頼りになる方はいませんか」
②「なるべく怒らせないようにすることが大切です」
③「お母さんは今までどおりの関わりで良いですよ」
④「Aさんが自分で自分のことをできるようにサポートしていきましょう」
④
109)次の文を読み109~111の問いに答えよ。Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。入院後、Aさんは主治医と話し合い、1日の手洗いの回数を決めたが、毎日その回数を超えて手洗いを続けている。看護師が確認するといつも洗面所にいる。Aさんが決めた回数を超えて洗面所で手洗いを続けているときに、看護師がとる対応で適切なのはどれか
①手洗いを続けてしまうことについてAさんと一緒に話し合う
②病棟は清潔であることをAさんに説明する
③主治医にAさんの隔離について相談する
④Aさんと決めた手洗いの回数を増やす
①
110)Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか
①父親と交代で毎日面会に来るよう勧める
②Aさんからの自宅への連絡を制限することを約束する
③Aさんの代わりに看護師がAさんの苦悩を母親に伝える
④Aさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する
④
111)入院1か月後、手洗い行為は軽減してきたAさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療についての話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか
①催眠療法
②作業療法
③認知行動療法
④就労移行支援
③
看護師国家試験 第107回の午後112~120
112)次の文を読み112~114の問いに答えよ。Aさん(76歳、女性)夫(74歳)と2人暮らし6年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。現在、ホーエン・ヤールの重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ<L-dopa>を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか
①食事の量
②便の性状
③振戦の有無
④排尿の回数
③
113)Aさんと夫は、2週後に日誌を持って受診した。レボドパ〈L-dopa〉の処方が1日4回に増量されることになり、病状管理と療養指導のためAさんは週1回の訪問看護を利用することになった。薬剤が増量されてから1週が経過し、足がすくむことが少なくなった。Aさんから「足がすくむようになってから浴槽に入るのをやめていたけれど、入浴しても大丈夫でしょうか」と訪問看護師に相談があった。Aさんに指導する内容で最も適切なのはどれか
①「レボドパが効いている時間に入浴しましょう」
②「通所介護の入浴を利用しましょう」
③「訪問入浴介護を利用しましょう」
④「シャワー浴にしましょう」
①
114)Aさんは「病気になる前は夫と近くの公園を毎日散歩していたけれど、最近は通院以外に外出をしていません。以前のように、夫と近くの公園を散歩したいな」と訪問看護師に話した。Aさんへの提案で最も適切なのはどれか
①歩行器の利用
②電動車椅子の利用
③住宅内の段差の改修
④自宅でのリハビリテーションの実施
採点対象から除外する。設問の状況設定が不十分で正解が得られないため。
115)次の文を読み115~117の問いに答えよ。Aさん(72歳、男性)妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていた。Aさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 II-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか
①5年前から禁煙していた
②最近、眠りが浅いと言っていた
③今朝5時にトイレから戻って来た
④健康診査を2年間受診していなかった
③
116)Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉 I-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。Aさんに行う経管栄養法について適切なのはどれか
①白湯から開始する
②開始前に胃残渣を確認する
③経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する
④1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする
②
117)入院3日の20時、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか
①身体拘束を行う
②早めに消灯をする
③バイタルサインを測定する
④向精神薬の使用を検討する
③
118)次の文を読み118、119の問いに答えよ。Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mLであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨夜は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。このときのAさんへの対応で適切なのはどれか
①授乳を促す
②入浴を勧める
③骨盤底筋体操を指導する
④鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える
④
119)産褥5日Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来たAさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。Aさんへの説明で最も適切なのはどれか
①「B君に好きな物を食べさせましょう」
②「B君の世話は夫にしてもらいましょう」
③「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」
④「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」
③
120)Aさん(82歳、男性)長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか
①右下腿を足浴する
②右下腿を挙上する
③温泉旅行の話をする
④Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる
①
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