令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験
厚生労働省ホームページ(第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について)を参考に編集・作成
看護師国家試験 第109回の午後100~110
100)次の文を読み100〜102の問いに答えよ。Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)罹患児が数名いる。既往歴:特記すべきことはない。予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。ケルニッヒ徴候あり。検査所見:白血球8,760/μL、血清アミラーゼ834U/L(基準44〜132)、CRP0.1mg/dL。Aちゃんに腰椎穿刺を行うことになった。看護師が検査の準備を始めると、Aちゃんは「何をするの?」と不安そうな表情をして尋ねてきた。看護師の適切な返答はどれか
①「泣いちゃだめだよ」
②「気にしないでいいよ」
③「痛いことはしないよ」
④「背中にお注射するよ」
④
101)検査の結果、Aちゃんはムンプス髄膜炎と診断された。父親から看護師に「先ほど主治医の先生から、面会やAの入院中の生活に制限があると聞きました。詳しく教えてください」と質問があった。看護師の説明で適切なのはどれか
①「親の面会は可能です」
②「Bちゃんの面会は可能です」
③「Aちゃんはプレイルームで遊べます」
④「Aちゃんは病室内でガウンを着てもらいます」
①
102)Aちゃんは入院の翌日も発熱が続いたが、頭痛は軽減し嘔気は消失したため経口摂取を開始した。入院3日、体温は微熱となり食欲が回復したことから、翌日の退院が決定した。耳下腺は縮小しつつあるが圧痛がある。父親から看護師へ「退院後、何か注意することはありますか」と質問があった。父親への看護師の回答で適切なのはどれか
①「Aちゃんの精巣の腫れに注意してください」
②「Aちゃんは退院後1週間は登園できません」
③「Aちゃんの耳の聴こえ方に注意してください」
④「AちゃんからBちゃんへの感染予防には明日までのワクチン接種が効果的です」
③
103)次の文を読み103〜105の問いに答えよ。Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行ったその後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる。扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか
①「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
②「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
③「のどにお熱があるからだよ」
④「いびきが大きいからだよ」
①
104)手術後1日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温37.6℃、血圧100/60mmHg。看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか
①Aちゃんの表情を観察する
②母親にAちゃんの痛みの様子を聞く
③Aちゃんに痛みの程度を話してもらう
④Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう
④
105)手術後1日。看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか
①口を開けて手術創を観察する
②唾液の色を観察する
③便の色を観察する
④脈拍数を測定する
②
106)次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満安(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。この時のAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか
①子宮収縮は良好である
②縫合部に感染徴候がみられる
③分娩の受け止めに問題がある
④産褥日数に比べて進行性変化が遅い
①
107)産褥2日Aさんから会陰縫合部の痛の増強はないが、離開の不安から排便ができないと訴えがあった。看護師は縫合部の異常がないことを確認した。Aさんは妊娠中の便秘はなかった。看護師の対応で優先度が高いのはどれか
①産褥体操をAさんに勧める
②水分を多く摂るようAさんに勧める
③医師に緩下薬の処方について相談する
④縫合部の離開の心配はないことをAさんに説明する
④
108)産褥4日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか
①紅斑を乾燥させるよう説明する
②紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する
③自然に消失するため心配はないと説明する
④抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える
③
109)次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいた。ところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか
①短期間の入院となることを伝える
②母親と関係修復をするように促す
③リストカットをしないように説得する
④Aさんの心身を心配していることを伝える
④
110)入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる太りたくない」と訴えた。主治医は、Aさんが右第指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症と診断した。入院時の身体所見:身長155cm、体重48kg。入院時の検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、白血球6,300/μL。Na135mEq/L、K2.7mEq/L、Cl98mEq/L、AST30U/L、ALT35U/L、γ-GTP32U/L。Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか
①心電図
②頭部CT
③腹部超音波
④上部消化管内視鏡
①
111)入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。自傷行為は、入院前の1回のみだった。Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか
①栄養士
②薬剤師
③臨床心理士
④ゲートキーパー
⑤精神保健福祉相談員
③
看護師国家試験 第109回午後111~120
112)次の文を読み112〜114の問いに答えよ。Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症と診断された。入院後3日までにAさんに出現する可能性が高い症状はどれか
①観念奔逸
②緘黙
③強迫症状
④幻覚
⑤振戦
④⑤
113)入院後3日。面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えているAさんへの対応に困っており、Aさんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。Aさんの妻に対する助言で適切なのはどれか
①「飲酒による仕事上の失敗についてAさんと議論しましょう」
②「飲酒したいというAさんの気持ちは聞かないようにしましょう」
③「Aさんが飲酒したことがわかっても注意はしないようにしましょう」
④「Aさんの飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」
④
114)入院中にAさんは、退院後に再び飲酒してしまうのではないかという不安を看護師に訴えたAさんの断酒を支援するための看護師の提案で適切なのはどれか
①共同生活援助<グループホーム>への入居
②セルフヘルプグループへの参加
③行動援護の利用
④生活訓練の利用
②
115)次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。Ⅱ型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか
①「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
②「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
③「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
④「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
③
116)インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか
①絆創膏は足趾全体を覆うように貼る
②浸出液の臭いの変化に注意する
③泡立てた石けんで足を洗う
④足浴には42℃の湯を使う
⑤大きいサイズの靴を履く
②③
117)訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか
①通所介護を利用する
②訪問介護を利用する
③配食サービスを利用する
④訪問看護の回数を増やす
④
118)次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。外来の看護師の対応で優先するのはどれか
①外国語が話せる医師を呼びに行く
②付き添ってきた友人に通訳を依頼する
③Aさんに外来の処置室で横になってもらう
④Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く
③
119)Aさんは、急性骨髄性白血病と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。看護師の対応で適切なのはどれか
①同室の患者に別室への移動を勧める
②Aさんに香水を洗い流すよう説明する
③Aさんに香水の使用は医師の許可が必要と説明する
④Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する
④
120)Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。看護師の対応で最も適切なのはどれか
①Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う
②希望通りAさんの病室に泊まることを許可する
③日本では家族の泊まり込みはできないと説明する
④近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める
①
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